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「おい、それはちょっと酷くないか?」
「良いんだよ。君は正真正銘の馬鹿なんだから。」
下校の時間を告げる放送が流れ、校庭にも人が居なくなった午後6時。秋空高校2-Aは今日も平和。
「第一、君がこの学校に入学出来たことが奇跡なんだよ。」
人を貶し続ける少年は河野 光希(コウノ ミツキ)。
大人しく貶されているのが、学年一頭の悪い高谷 奏(タカタニ カナデ)である。
二人は談笑しながら、友達を待っていた。
「…それにしてもおそいなぁ。人待たせておいて帰ったんじゃねーの?」
「何年一緒にいるんだよ。あの真面目達ががそんな事すると思うか?生徒会の仕事が延びてんだって。」
まだ来ない友人にイライラし始めた頃、静まり返った校舎に、生徒のスリッパ特有の足音が響いた。
「すまない、遅くなった。」
「ごめん。仕事長引いちゃって。」
二人共制服に生徒会のバッジが輝いている。
堅苦しい方が秦 俊介(ハタ シュンスケ)、この四人組唯一の女子が柳川 葵(ヤナギカワ アオイ)。
俊介、葵、奏、光希は幼稚園の頃からの幼馴染で、何をするにも四人で行動してきた。
だから、今さら離れる訳にはいかず、高校も普通科で全員同じところを選んだのだ。
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