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俊介の恋文騒動の翌日。
トイレから教室に帰る葵の前に、見知らぬ顔の女子生徒達が立ちふさがった。
「あなたが、柳川 葵?次サボって、体育館裏ね。逃げたら許さないから。」
(私何かしたっけ…。)
「は、はい。」
それだけ伝えると、数人は2-Bの方に歩いていった。
葵が呆然としていると、もう予鈴が鳴っている。
急いで教室に入り、先生に体調が優れないと伝えた。
「柳川。一人で大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。」
保健室とは反対方向に歩いていく葵に気付いた者は俊介、奏、光希の三人だけであった。
…体育館裏に着いた葵は、先程の女子生徒達を見つけた。
「遅かったわね。ところで何の話か分かってるの?」
「心当たりがなくて…。」
「恍けないで。あんたが遥様と俊介君の仲を邪魔しているのは知ってるのよ。」
「そんな…。」
突然俊介の名前が出て驚いた葵は、そんなの言いがかりだ、と思った。
いつもなら心地よい風が、今日は不吉な出来事を運んで来るようで怖かった。
「私達はね。あんたが俊介君に取り入ろうとしてるのが気にくわないの。」
「私取り入ろうとなんか…」
「それに何だっけ。高谷 奏?あんな馬鹿といたら俊介君が可哀想だわ。」
その一言で、葵の堪忍袋の緒が切れた。
今までとは違う葵の雰囲気に、彼女らも少し後ずさった。
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