275人が本棚に入れています
本棚に追加
/2494ページ
②
先に店についてグラスワインをオーダーする。多分、千夏は定時に上がるのは無理だから、私は先に始めることにしてる。グラスワインと枝付き干ぶどうとナッツを頼んだ。
帰りに会うときは時間の約束はしない。必ず店を決めてそこで先に着いた方が待つ。そういう形は普通あまりないらしい。男でも女でも。
でも私たちにはナチュラル。
私も千夏も、仕事が優先順位の一番上にあるのかもしれない。
千夏の相手がそういうことわかる人ならいいな。約束の時間に間に合わなくても、気長に待ってくれる人。そんなことを思いながらワインを飲んだ。少し頭痛がするのは微熱のせいだろう。
30分ほどで千夏が来た。
『待った?』
「一杯目。何する?ピザでいい?モスコミュール?」
多分、ちょっと走ってきたんだろう、ただ頷く。
2杯目のワインとモスコミュール、マルゲリータと水菜のサラダを頼んだ。
千夏は否定しない。食べたいものがあれば追加で言うけど、それもほとんどない。
彼女の方を向いてテーブルに肘をついた。組んだ手の上に顎を乗せた姿勢で彼女を見つめる。私に見つめられてドキドキするなよ。
「さて、で?質問?のろけ?相談?」
最初のコメントを投稿しよう!