〈2〉【 anna 1 】*

11/11
275人が本棚に入れています
本棚に追加
/2494ページ
④ あれからどうしたのかわからない。 でも、自分の部屋のベッドで眠っているみたい。キャミソールのまま。 ブラジャーない!あわてて起き上がる。 ベッドに突っ伏すように千夏が眠っていた。 私のブラジャーは、ベッドの端にたたんで置いてある。 なんで千夏がいるんだ?私がメールしたのかな? バーテンのタマちゃんが電話したのかな? なんにしても、久しぶりにやっちゃったんだ。 多分、家に帰ってすぐだったと思う。また出てきてくれたんだ。ごめんね。 そっと起きて水を飲んだ。頭が痛い。間違いなく二日酔い。 冷蔵庫を閉めた音で千夏が起きた。 「おはよ。」 『おはよ、大丈夫?』 「うん、ありがと。つぶれた?」 『うん。バーボン一本空けてた。』 千夏は何も聞かない、いつも。 「どうりで頭痛い。」 『今日、仕事は?』 「アポはないかな。」 『家描き?』 「うん。」 千夏は起き上がってキッチンに来る。へんな寝方してたからか、ブラウスがしわしわだった。 「ごめん、なんか着て。」 『ダンガリーのワンピース貸して。』 「OK」 クローゼットに迎いながら心の中でお礼を言った。もう何回もだけど。 いつもごめん、ありがとう。 二人でシリアルを食べた。 私の化粧品で化粧をした千夏は、私のワンピースを着て出社していく。 私のありがとうと、いってらっしゃいという声にいつもみたいに笑って、いつもみたいに手を振った。 ありがとう。 さあ、病院行かないと。
/2494ページ

最初のコメントを投稿しよう!