〈4〉【 anna 2 】

2/18
275人が本棚に入れています
本棚に追加
/2494ページ
目が覚めたら、23時だった。9時間も寝てた。だるさは少しましになっている。ようやく抗生物質が効きだしたんだろう。 冷蔵庫から水を出していたとき、携帯が鳴った。 千夏から。何度かメールもくれてたみたいだ。 「どうだった?」 出てすぐに聞いてやった。一瞬、黙る。 『そっちこそ、どうなの?』 ちょっと怒った風な声。心配してくれてる。 「大丈夫。今からお粥食べるよ、昨日の。」 『夏風邪?』 「まあ、そんなもの。」 自分のダークな話をするのはもっと別の日でいい。 今日は千夏の初デートの話を聞きたい。 幸せな気持ちになりたい。 自分が最悪でも、友達の幸せを喜べる私っていい女じゃない。 「で、どうだったの?ってか、帰ってるの?」 自分の部屋からかけてると確信しながらも、とりあえず言ってみる。 『帰ってるよ、当然。』 千夏は相変わらずちょっと怒ったみたいに言った。 『水族館に行った。』 「天保山?」 『うん。』 頷く千夏の微笑みが見えるようだ。高校生か。 千夏が簡単に話してくれたデートコースを聞いて、なんだか懐かしくて甘酸っぱいものが甦るよ。ローティーンの頃の。 なんてセオリーどおりのプランだ。マニュアルどおり。ツワモノとはほど遠い。 しかし、千夏も鰯って。ファザコンにもほどかあるぞ。 それで、また明日?高校生か。 「あんた月曜、早朝会議あんじゃないの?」     
/2494ページ

最初のコメントを投稿しよう!