275人が本棚に入れています
本棚に追加
/2494ページ
目が覚めたら、23時だった。9時間も寝てた。だるさは少しましになっている。ようやく抗生物質が効きだしたんだろう。
冷蔵庫から水を出していたとき、携帯が鳴った。
千夏から。何度かメールもくれてたみたいだ。
「どうだった?」
出てすぐに聞いてやった。一瞬、黙る。
『そっちこそ、どうなの?』
ちょっと怒った風な声。心配してくれてる。
「大丈夫。今からお粥食べるよ、昨日の。」
『夏風邪?』
「まあ、そんなもの。」
自分のダークな話をするのはもっと別の日でいい。
今日は千夏の初デートの話を聞きたい。
幸せな気持ちになりたい。
自分が最悪でも、友達の幸せを喜べる私っていい女じゃない。
「で、どうだったの?ってか、帰ってるの?」
自分の部屋からかけてると確信しながらも、とりあえず言ってみる。
『帰ってるよ、当然。』
千夏は相変わらずちょっと怒ったみたいに言った。
『水族館に行った。』
「天保山?」
『うん。』
頷く千夏の微笑みが見えるようだ。高校生か。
千夏が簡単に話してくれたデートコースを聞いて、なんだか懐かしくて甘酸っぱいものが甦るよ。ローティーンの頃の。
なんてセオリーどおりのプランだ。マニュアルどおり。ツワモノとはほど遠い。
しかし、千夏も鰯って。ファザコンにもほどかあるぞ。
それで、また明日?高校生か。
「あんた月曜、早朝会議あんじゃないの?」
最初のコメントを投稿しよう!