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地面へと取り残されたカオルに、気にも留めずに少女は立ち去ってゆく。
これで何度目だろう。彼女の後姿を見送りながらカオルは思い出している。異性を意識し始め、女の子に好意を持ち始めて以降経験した、カオルの何度目かの失恋の記憶であった。
「大丈夫かよ!」そう声を掛け起き上がるのに手を貸してくれたのは、幼馴染の涼太だった。
「散々だったな」「もう慣れたよ」会話しながら涼太はカオルの背中を軽く叩いてくれた。
「しかし波多野さんに告るとは無謀じゃないのか?」
「そうかな? 涼太はそう思う? やっぱり僕は気持ち悪いのかな?」カオルの問いに、「どうかなぁ? 俺に言わせんなよ、女子に聞きな」と涼太は言うだけだった。
『その女友達が居ない事が悩みなのに……』
「じゃあ俺ゲーセン寄ってくからさ、気をつけてな」そう言った涼太は去り際に振り返って、「またナンパされるなよ!」とカオルを冷やかした。
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