bigining of the end

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まだ詩織が誰かに殺されたと決まったわけじゃない。あの血だって他の誰かの血かもしれない。でも、この旅館には僕たち二人しかいないはずだ。部屋はオートロックされていた。もしかしたら詩織は僕との別れを決意して自殺したのかもしれない。なら詩織の遺体はどこに? あれだけ大量の血をベッドで流して、ベランダまで自力でたどり着けるだろうか? いや、そもそもあの血は絵の具で作った偽物の血の可能性もある。詩織ならそれくらい簡単に作れるだろう。いや、そんなふざけたことを今やってどうなる。くそ、まったくどうなっているんだ! 次郎も充ももうどこか遠くへ行ってしまったはず。もしこの世界に僕たちの知らない第三者がいたとしても、詩織がこんな時にドアの鍵を開けて会うとは思えない。
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