bigining of the end

76/102
前へ
/102ページ
次へ
白いバスローブと白い肌が真っ赤に染まっていた。五階からでも、投げ捨てられて仰向けに寝ている詩織の恐怖に満ちた表情が分かった。母さんと同じように首から血を流し、首が変な方向にぐにゃりと曲がっていて、大きく見開かれた目はいつまでもまばたきをしようとしなかった。すぐに詩織のもとへ向かおうとしたが、僕の体は勝手にガクンと崩れて、あごをベランダの柵にぶつけながら、その場に倒れてしまった。後頭部が焼けるように熱くて、触ってみると、粘り気のある血の感触がした。強い吐き気がして起き上がろうとしたが、体中の筋肉が小刻みに痙攣していてまったく力が入らない。近くで木製のバットのようなものが床に落ちる乾いた音がした。僕は浴衣の襟をつかまれて、意味のないただの肉のかたまりのみたいに、部屋の中へとずるずるひきずられていった。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加