bigining of the end

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僕の部屋はとてもシンプルで、よく整理整頓されていた。部屋の真ん中にある黒いテーブルの上に、一冊の大学ノートが置かれていた。ハジメへ、と表紙に黒いペンで大きく書かれていた。ノートをパラパラとめくってみると、料理、洗濯、などの家事全般についての内容ばかりだった。充がハジメのために書いて残しておいたのだろう。後でゆっくり読もうと思い、テーブルの上に戻そうとしたら、一枚の紙切れがノートの隙間から床に落ちた。足元に落ちたそれを拾ってみると、東京都立××病院の精神科の診察券だった。裏面には日付と時刻が書いてある。ベッドの脇にあった電子時計を見ると、ちょうど日付は今日で、今の時間からあと三十分後だった。
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