bigining of the end

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「充、ひさしぶりだな。今日はどうしたんだ? 身体の調子でも悪いのか?」  僕は振り向くのを迷った。直感的に、これはなにかの罠のようなものだと思ったからだ。僕の犯罪は完璧ではなかったのか? 目だけで周囲を見渡してみる。やはりなにかがおかしい。しかし今、誰かがハジメのことを充と呼んでもそれほどおかしいことではない。主人格のハジメはずっと眠っていて、代わりに充がハジメになっていたのだから。そう考え、僕はゆっくりと後ろを振り向いてみた。そこには白衣を着て眼鏡をかけた初老の男がいた。
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