bigining of the end

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なぜこの男は僕のことも知っているんだ? 僕はハジメの隠された人格で、外部の人間で僕の存在を知っている者など一人もいないはずだ。彼の瞳の奥を深く覗き込んでみた。まったく人間的な感じがしない、機械で作られたような瞳孔のふち。僕はとっさに危険を感じて、握手をしていた手をほどこうとした。だが、彼の手は鉄製の機械工具のようになって、骨が折れるじゃないかというくらいに、僕の手を締め付けてきた。そして彼の体はガソリンの入ったドラム缶のように重かった。これからなにが起きようとしているのか? なにが狙いなんだ? そう思った時、病院の駐車場から怒り狂った雄叫びのような車のエンジン音が響いてきた。
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