夕暮れの中で

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「皆もっと紀一くんの事知れば、友達になれると思うのに…」 お弁当のミートボールを頬張りながらそう呟くと、紀一くんはムクれた顔をしながらメロンパンに齧り付いた。 「いいんだよ別に。嫌われんのは慣れてるし」 「良くないの!」 ぷくっと頬を膨らませ、少し大きな声を出すと、紀一くんは後退りをしながらたじろいだ。 「お…お前には関係ないだろ」 「関係あるよ!友達だもん」 「は?」 私の言葉を聞いた紀一くんは、お弁当のプチトマトみたいに真っ赤に顔を染め上げた。 並べて見てもそっくりだ。 紀一くんはメロンパンを持ちながら立ち上がると、何か言いたげに、金魚みたいに口をぱくぱくさせた。 「なに?」 「何でもねーよ!」 真っ赤な顔を隠すように腕で顔を覆うと、一目散に本校舎へと走って行ってしまった。 取り残された私と猫ちゃんは、ぽかんと口を開きながら、訳が分からないままその場に取り残されてしまった。
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