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「起きろよ・・・!!おい・・・起きろよ!!」
野犬のアクロは、高速道路で車に轢かれて死んだ仲間の野犬の亡骸の身体を鼻を擦り付けて何度も持ち上げようとした。
「エル・・・エル・・・俺を置いていかないでくれ・・・!!おい!!起きろよ!!ねぇ!!起きろよーー!!」
アクロの顔は目は溢れ出る涙でグシャグシャになり、くーんくーんと泣きじゃくりながら、何度も何度も鼻や前肢で仲間の野犬の亡骸を転がし、揺すり、身体を何度も押して、何ども何度ももう一度起き上がらせたいと努めても、目を剥いてピクリともしなかった。
プップーーーー!!
1台の車が猛スピードで、アクロの目の前に向かって走ってきた。
「危ない!!」
間一髪、アクロはエルの亡骸を口にくわえてこの忌まわしい高速道路から死物狂いで一目散に逃げた。
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
アクロは高速道路の側面のごみ溜めに横たわると、傍らのハエがブンブンと集る半ば腐ってきたエルの亡骸に向かって呟いた。
「俺のせいだ・・・俺がこの道路を突きって行こうとしたからだ・・・!!それにお前が付いていって・・・!!ごめんよ・・・俺のせいでこんな目に・・・ごめんよ・・・ごめんよ・・・」
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