彼女との時間

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すぐメールに気づいていたとしても、今日は行けなかった。 にしても、すぐにそれを返すべきだったのに、さぞ嫌な気分だっただろう。 これが香子のような口の減らない女だったら謝って終わるが、ナイーブな迷子だけに悔やまれた。 言い訳になるが、まさか彼女からこんなメールが来るとは思わなかったのだ。 僕はどうしても埋め合わせがしたかった。 というより、単に僕が彼女に会いたかった。 “あいにく今日は都合が悪いのですが、来週の木曜なら” 文字を打つ指が止まる。 僕は女性へのプライベートメールでも用件しか書いたことがない。 でも、この時ばかりは自分の愛想のない文面が気になった。 もう少し何とかならないのか? 「かちょー、食事中に携帯いじるのはマナー違反っすよー」 いやいや。 彼女が僕に甘ったるい言葉を求めているはずがない。
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