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“江藤です。お仕事お疲れ様です”
彼女からのメールに気づいたのは忘年会に突入したあとだった。
職場に戻ってからは電話が立て込み、PCメールの対応だけで慌ただしく移動したので、携帯のチェックを後回しにしてしまったのだ。
“セミナーの後、ご都合はいかがですか?いつもお邪魔してるので、たまには外で食事するのもいいかなと思って”
全文を読み返し、時計を見る。
現在、時刻は午後八時。
しまった……。
受信からすでに四時間近く経過している。
素っ気なく帰っていった後ろ姿を思い浮かべ、僕はすぐに返信画面を開いた。
いじけ虫のことだ、ヘソを曲げているに違いない。
“皆川です。返信が遅くなり申し訳ありません”
「課長!仁科さんと昔付き合ってたってホントですかぁ!」
「ちょっと!そんなの一言も言ってないじゃない!」
さきほどから早々に出来上がった森田が香子に絡んでいたが、何やら手がかりを掴んだのか向こうで騒いでいる。
香子が火消しに努めているようだったので無視し、僕は続きを打とうとした。
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