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「かちょーー誰にメールしてるんすかーー」
ええい、気が散る。
とにかく一刻も早く謝らねば。
僕は書きかけのメールを手早く結ぶと、送信ボタンを押した。
あちらではまだ森田が飽きもせず僕の話題を引っ張っている。
「課長、女関係が謎なんすよ。仁科さん、何か知ってます?」
完全無視で返信を待ちながら、マフラーをぐるぐる巻きにした姿を思い浮かべる。
そんなに寒がりだったのか。
だったら次に彼女が来た時の夕食は、体が暖まる系を──
その時、手の中で携帯が鈍い音を立てて振動した。
すぐに彼女と繋がったことにほっと安堵しながらメールを開く。
“来週の木曜日は約束があります。ごめんなさい”
しかし、文面は一行。
代替案のない、あっさりした断りのメールだった。
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