彼女との時間

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「……」 まあ、そうか。 彼女はそこまでして僕と食事がしたいわけではないのだから。 一人相撲にため息をつき、携帯をポケットに入れる。 一月は目前。 あと何回、会えるだろう。 ……駄目だ。 女々しい自分を叱咤してジョッキを空ける。 気持ちを持っていかれては駄目だ。 折り合いをつけ、割りきらなければ。 仕事が順調に進み、予定より早く満了しそうなことが僕には救いでもあり、苦しくもあった。 「まさか課長、アッチ系ですかね?」 「うるさい、酔っ払いめ」 「きゃはは、佑人が怒るの初めて見た」 香子まで酔っ払って騒いでいる。 「あっ、今、佑人って呼んだ!」 その日の僕の酒量が多かったのは、しつこい森田に絡まれたせいだと思いたい。
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