第2章 白雪姫とシンデレラ

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◆ 「新年おめでとー!」   年明け一月。 森小屋の中には相変わらずのメンバーが揃っていた。 テーブルの上には白雪姫と王妃で作ったごちそうと、シンデレラが持ってきてくれた絶品デザートの数々、そしてフェアリーゴッドマザーの季節外れのチューリップの花束が、質素な森小屋には不釣り合いな黄金の花瓶に飾られていた。 「それにしても、クリスマスイブは大変だったねぇ。でもさ、あの大きなツリーを背中で支えちゃうなんて、私ってすごいと思わない?」 「白雪、あなたは無茶しすぎなのよ。いくら鍛えてるからって、あんまりお母さんに心配かけないでちょうだい」 「白雪ちゃんのおかげで、お継母さんが助かったんだよ! 本当にありがとう! でもね、お姉ちゃん達が白雪ちゃんに恋しちゃって大変なの。いくら白雪ちゃんは女の子なんだって説明しても『白雪兄様と結婚する!』って言って聞かないんだから!」 「あぁ……あの時は本当にごめんなさいねぇ……私……宝石店に入った途端、気を失っちゃって……目が覚めたらすべて解決してるじゃない……本当に役立たずで……申し訳ない……」 あの日、町中の人々が協力してくれたおかげで凶器と化したクリスマスツリーをどかし、白雪姫とシンデレラを助け出す事が出来た。 継母が命がけでシンデレラを助けた一部始終を見ていた町の人々は、噂を鵜呑みにして、今までひどい事をして悪かったと謝罪をし家族もそれを受け入れた。 あのツリー騒ぎの男達二十人は、自ら荒れた広場の修復を買って出て、ボロボロになったツリーも、今ではもう一度植え直され大事にされている。 ちなみにシンデレラを女神として崇拝していた二十人の男達のうち、七人が自分の尻を蹴りあげた謎の美熟女を新たな女神として崇拝しているという。 みな元々は善良な人達なのだ。 誤解がとければ、あとは自然と良い方向へ向かうだろう。     森小屋の幸せなランチタイムは、今日も賑やかな笑い声で包まれていた。 了
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