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思い違いも甚だしい一国の王女様は、キャッと顔をほころばせ背を向けた王妃の背中を思いっきり叩いた。
いや、もしかしたら手加減したかもしれないが、その一撃は口を開けたままの王妃を前のめりに転倒させるのに充分なパワーだった。
「ガッファッ!」
白雪姫に力負けした王妃は顔面から地面に激突。
唇と歯茎に激痛を感じ蹲った。
眩暈がし始め耳も鳴る。
そして、口の中にはジャリッとした感触と異物感。
____もうヤダ……土が口に入ってしまった……吐き出さなければ、
王妃は痛みをなんとか堪え、起き上がろうと大地の上に手をついた。
同時、頭の上から慌てた声が降ってくる。
「あぁっ! お婆さん、ごめんなさい! 私ったらなんて事を!」
反省しきりの白雪姫が、後ろから王妃の肩をムンズと掴むと勢いよく起こしにかかった。
急に後ろに引かれた王妃はたまらなくなり「ウワァッ!」と叫んだ。
だがそれがいけなかった。
大声を出す事により喉が開いて、口の中の異物がストンと胃に向かって落ちたのだ。
「ガァッフ! ゲホッゲホッ! ゲホゲホゲホ……ゴックン! はぁ、はぁ、はぁ……」
王妃は尻もちをつき肩で大きく息をした。
転んだせいで鼻も口もどこもかしこも、熱を帯びてジンジン痛む。
姫は姫で、自分のせいでお婆さんに痛い思いをさせてしまったと、今にも泣きそうな顔でオロオロしていた。
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