129人が本棚に入れています
本棚に追加
一年振りに会った姫はゴリラみたいに筋骨隆々。
王妃を軽々抱きかかえ、そして助けてくれたのだ。
真っ黒に日焼けした白雪姫の輝くような笑顔。
認めるのは悔しいが充分美しかったではないか。
世界基準の美とは一体何なのだろう。
こんな気持ちのまま一位に返り咲いて嬉しいと思えるのだろうか?
悶々とした気持ちを抱え黙り込む王妃に魔法の鏡が続けて言った。
『白雪姫が世界第一位から転落した今、新たな第一位は……』
王妃は分かりきった答えを前にグラスのワインを口に含んだ、その直後。
『それは、隣の国のシンデレラ嬢、16歳です。ちなみに王妃様は第二位をキープ中であります』
ブフォォォッ!
まさかの答え。
王妃は鏡の告げた知らない名前を聞いた途端、盛大にワインを噴き出した。
『うあっ! ちょぉぉ! 王妃様、汚い!』
毒霧をモロに受け、魔法の鏡は露骨に嫌な声を出す。
王妃はポカンとしながら呟いた。
「えっと……シンデレラって……誰?」
王妃はペタンと座り込み脱力した。
やがて床に引っくり返ると腹を抱えて笑い出す。
「うっはー! マジか! そうきたか! やられたわーっ! 私、ばかみたいじゃーん! あはははははは!!」
魔法の鏡はそんな様子に同じくポカンとしたけれど、いつまでたっても笑い続ける王妃につられて一緒に笑い出したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!