第1章 あの女は不死身の化け物か!?

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◆   「次の方、スタンバイしてください!」   ダンスコンテスト係員の呼びかけに、我に返った王妃がゆっくりと顔を上げた。  いよいよかとステージ横から観客席を覗いてみると、愛しい娘と友人達が見てとれた。 それと大きな横断幕も。 「お、横断幕!? ん? 待って、なにか書いてあるわ……なになに? ”お母さん頑張って!” ……って、ちょっとやだ! 恥ずかしじゃなぁい! ああもう、あの子達は……! もう、もう……だけど……ふふふ、気持ちが嬉しいからいっか。みんな、ありがとね」   独り言ちで幸せ気分。 そうこうしてると娘と選んだ音楽が大音量で流れ出す。 出番だ! しょっぱなからアクロバティック、バック転の連続技でステージに踊り出た。 耳に響くは割れんばかりの大歓声と、それに負けない白雪姫の雄叫びだ。 「お母さぁぁぁぁん!! 楽しんでぇぇぇぇぇ!」 野太い声に笑った王妃は力が抜けて、心と身体が羽のように軽くなる。 王妃は白雪姫と……いや、平凡で未熟な母は、可愛い娘と共に励んだ練習成果をこのステージで表現しようと高く飛ぶ。 優勝するとかしないとか、そんなのは些末な事で一位も二位も順位なんかに興味はない。 ただ今は、愛する娘と大事な友と一緒に笑って楽しむのだ。 さぁ、飛んで跳ねてステップ踏んで、バック転は得意技。 一つ一つの動きのすべてに娘の笑顔と思い出が詰まっている。 ____ああ、なんて楽しい! ____なんて私は幸せだろう! …… ………… ……………… 踊る王妃の赤いシューズにスポットライトが反射して、スパンコールの綺麗な飾りがキラキラと輝きだした。 ターンを決めてクルクル回れば光は繋がり線となり、王妃が踊れば踊るほど足元には光の尾っぽが絡みつく。 光りの残像、それがいくつも重なり合って煌めくさまは、まるで真っ赤に燃える炎のように見えたのだった。 了
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