第2章 白雪姫とシンデレラ

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「そう? ふふふ、付き合い長いからね。アイツなんか気取った喋り方するのよ。『王妃様、これはオフレコですから、お城ではなく白雪姫がいらっしゃる森小屋でお会いになってください』とかね―!」 「あはははは! ヤメテ! もう、ヤメテ! 似てる! 似てる!」   二人の楽しそうな笑い声が森小屋の外にまで響き、今まさに森小屋のドアをノックしようとしていた謎の客人は一瞬その手を止めた。 そして、後ろに立つもう一人の連れを振り返り小さく頷くと改めて静かにドアをノックした。 コンコン 魔法の鏡のモノマネで笑い転げていた王妃と白雪姫は、笑いすぎで涙が滲んだ目元を指で拭いつつ、はぁいと元気よく玄関に向かった。 ドアを開けると、そこには真冬のこの時期に咲いているはずのないミニヒマワリの花束を抱えた老婦人が立っていた。  「はじめまして、王妃様に白雪姫。私は魔法の鏡の古くからの友人でフェアリーゴッドマザーといいます。私も魔法使いなの。今日は無理を言ってごめんなさいね。ずっとお二人にお会いしたかったから感激よ! すごく嬉しいわ。それからこれをお二人に。明るく元気で美しくも可愛らしい、太陽のようなヒマワリがお二人にぴったりだと思って」 そう言ってフェアリーゴッドマザーは、彼女こそ太陽のような明るい笑顔で花束を差し出した。 「わぁ! 真冬にこんなにたくさんのミニヒマワリだなんて初めて見たわ! ステキ! どうもありがとう! 外は寒かったでしょう? さぁ、まずは中に入って! すぐに暖かい紅茶を用意するわ。ご挨拶は中でゆっくりランチを頂きながらにしましょう! 母と一緒にたくさん作ったの!」     
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