129人が本棚に入れています
本棚に追加
そのたびに白雪姫と王妃は笑い転げ、初対面にもかかわらず和やかな空気に包まれ始めた中、まだ一人カチコチに緊張し、なおかつフェアリーゴッドマザーの後ろという隠れ場所も失ったもう一人の客人が部屋の端で直立不動で固まっていた。
その石化した客人はブラウン一色の飾り気のないポンチョコートにフードを目深にかぶっていた。
顔は見えないけれど、小柄な背丈、それにフードからこぼれ落ちる美しいブロンドの髪から推測するに、おそらく若い女性なのだろう。
彼女はフェアリーゴッドマザーを中心に笑い転げる三人の輪に入りそびれてしまい、元々の内気な性格もあってか、コートを脱ぐことも出来ずにただただ一人立ち尽くしていた。
「さぁ、お茶の用意ができましたよ! それからみなさん、おなかは空いてるかしら? よかったらランチもお出ししますから、みんなで食べながらゆっくりお話しましょ!」
白雪姫がテキパキとお茶と料理を次々にテーブルに並べて始めると、王妃は白雪姫の邪魔にならないように、フェアリーゴッドマザーが持ってきてくれたミニヒマワリの花束を飾る為、花瓶を探し始めた。
が、ミニとはいえ百本以上はあるかと思われる大きな花束が入るような花瓶がここにはない。
お城に帰ればそれこそどんな大きさの花瓶でもさまざま揃っているけど、どうしよう困ったわ……と花束を抱えウロウロしていると、
「王妃様、もしかして大きな花瓶をお探しなの?」
フェアリーゴッドマザーが声をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!