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「そうなのよ、でもこれだけの花束が入るだけの花瓶がなくて……どうしましょう」
途方に暮れる王妃にダイジョウブよと答えたフェアリーゴッドマザーは部屋の中を見回すと、玄関の端に寄せてある割れたコップに目をとめた。
「ねぇ、あれは捨てちゃうの?」
「あはは……恥ずかしながら、さっき私が洗い物をしている時に割っちゃったの。もちろん捨てるわ。危なくないように端に置いてあるだけよ」
「そう、ならちょうどいいわ。あのコップに花を飾りましょう」
「あのコップに? 無理よ! あれじゃ小さすぎるし、第一割れてるわ」
慌てる王妃にフェアリーゴッドマザーは片目をつむり口角を上げた。
「王妃様、私は魔女よ? 割れたコップを大きな花瓶にかえるなんて簡単な事よ!」
王妃はその言葉に息を呑み目を輝かせた。
____そうか! フェアリーゴッドマザーは魔女だった!
「すごいわ! ゴットマザー! あなたの魔法で割れたコップを花瓶にしてくれるのね? 最高だわ! 私、目の前で魔法を見るのは初めてなのよ! 興奮する! 魔法の杖を使うの? 呪文も唱えるの? ビビデバビ……とかなんとかだったかしら!?」
子供のようにはしゃぐ王妃に、フェアリーゴッドマザーは先程までの得意顔から一変、申し訳なさそうな顔になりった。
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