第2章 白雪姫とシンデレラ

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以前、国内最大のダンスコンテストで優勝経験を持つ王妃から見れば、悪霊に憑りつかれたイカれた老女にしか見えないのだが、そこは素人、ダンスの技術には目を瞑ろう。  だがしかし、こんなのを目の前にどうしたらいいのか。 王妃の前で魔法を使いたくないと言っていた意味がやっと分かった。 それを強引に見せてとお願いしたのは他の誰でもない王妃なのだから、せめてこの魔法が終わるまで耐えなくてはならない。 だがしかし無情にも魔女の攻撃(呪文?)は続く。 『恋のフォーフォーッ! マジックパワーは無限大ッ! ファッ! ラブラブゥゥゥ……パワー!! ラブリーなのはぁぁぁ…フェアリー!! oh! yes! カモン! Say! エビバディSay!!』 フェアリーゴッドマザーは今にも泣きそうな顔で『セイセイ』言いながら右手に杖を、左手を自分の耳にあて、王妃に向かって『ラブラブゥゥゥ』とか『ラブリーなのはぁぁぁ』と叫んでいる。 フェアリーゴッドマザーが王妃に何を求めているのか、それは痛いくらい伝わってきた。 だが、や……ごめ……それは……ちょ……無理……王妃の方も今にも泣きそうな顔を横に振ろうとしたその時、とうとうフェアリーゴッドマザーの涙腺が決壊した。 『えっぐ……えっぐ……ラ、ラブラブゥゥゥ……う、うぅぅ……カモン……Say……王妃様……お願いよ……答えて……でないと終われないの……』 嗚咽を漏らしながら懇願する魔女を呆気にとられ見つめていた王妃は、はたと気が付いた。     
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