第2章 白雪姫とシンデレラ

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全ての苦行(魔法?)を終えた途端、杖の先からは更に激しく七色の光が水圧の高いシャワーのように溢れだし、その光に包まれた割れたコップは、眩しさに目を細める王妃の前で徐々に輪郭を変えていった…… 怒涛の宴会芸(魔法?)が終わり、向かい合って座り込む二人の重く長い沈黙を最初に破ったのはフェアリーゴッドマザーだった。 「見苦しい姿を見せてしまって、ごめんなさいね……言い訳じゃないけど、私が魔女試験に受かったのは当時最年少と言われた八歳だったの……ああ……あの頃の私は同級生の誰よりも早く魔女になれた事が嬉しくて……最初の手続きで今後一生使う自分だけの呪文登録の時に、何をトチ狂ったのか、さっきの……アレで申請しちゃって……受理されちゃったの」 そう言って情けない顔を王妃に向けた。 「誰か全力でとめてやれよ……って、ああ、なんでもないの。気にしないで。それより、ねえフェアリーゴッドマザー、そんな悲しそうな顔しないで。確かに最初はかなり驚いたけど、今は違う。ああ、あなたの魔法は素晴らしい。本当よ……だってその証拠に見て、」 王妃はゆっくりと割れたコップだったそれに目を向けた。 そこには小さな国の一つくらい丸ごと買えそうな、豪奢で繊細な彫刻が施された黄金の花瓶が眩く輝いていたのだ。
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