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それに対して王妃も負けずに、
「えぇ? なんでよぉ? 白雪はもっと自分に自信を持ちなさい。あなた、本当に美人だしかわいいし、優しいし、料理は上手いし、他にもたくさん良いトコあるしで最高よ!」
こうキッパリと言い切った。
白雪姫は大いに焦り、
「いいから! お母さんはちょっと黙ってて! お願いよぉ!」
母親に縋りつく。
それ以上初対面のお客様の前で馬鹿な事を言わないよう、必死に懇願する白雪姫と、これだけは言わせてもらうと張り切る王妃。
そんな二人を目の前で見ていたシンデレラが声を震わせ絞り出すように呟いた。
「わ、私……お二人が……う、うらやましいです」
予想外のシンデレラの発言に、
「「はい?」」
間抜けな声でハモり、訳がわからないと顔を見合す王妃と白雪姫。
せっかくの美しい顔を歪ませて泣くのを堪え下を向くシンデレラ。
数瞬の沈黙を破ったのはまたもフェアリーゴッドマザーだった。
「王妃様、白雪姫。改めて紹介するわ。こちらは隣の国のエラ王妃様よ。あ、シンデレラはニックネームね。彼女はついこの間まで民間人だったんだけど、お城で開かれた舞踏会で王子様と出会って結婚したの。私はその時にドレスや馬車の用意を魔法でお手伝いしてね。それ以来の友人よ。ね、シンデレラ」
コクンと頷くシンデレラに王妃は、魔法でお手伝い? て事は、この子もあの宴会芸を見たのか……? さっきの呪文がグルグル頭の中を回りだす。
「それでね、無理を言ってお二人に会いに来たのは、シンデレラの悩みを聞いてあげてほしいの。さぁ、シンデレラ。俯いてばかりいないで思い切ってお話してみなさい……」
フェアリーゴッドマザーに促され、シンデレラはおずおずと顔を上げ小さな声で話し始めた。
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