第2章 白雪姫とシンデレラ

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古いけれど大きな屋敷に一人ぽっちになったシンデレラは、美しく着飾った姉二人の姿を思いだしながら嬉しそうに鼻歌を歌った。 そして、汚れたドレスを抱えるとインクのシミにはあの洗剤が効くはず……と、足取り軽く洗濯場へと向かっていった。 「思った通りだわ」 インクのシミなど最初からなかったような、きれいになったドレスを夜の庭に干し満足気に眺めていると、 「エラ!」 継母が息を切らせて庭に走り込んできた。 「あ、お、お帰りなさい。あ、あの、お腹は空いてないですか? 食事にしましょう。そ、それから見てください、ドレスのシミがこんなに綺麗に落ちたんです、」 一度声が出た事で緊張がとけたのか、シンデレラは相変わらず声は小さいけれど、継母に対して普通に話す事ができた。 「エラ! あんたって子はこんな時にシミ抜きなんかして! でもありがとう! そんな事よりこっちに来て! エラも舞踏会に行くのよ!」 シンデレラは継母が何を言っているのかよくわからずにポカンとする。 「え……? で、でも、ド、ドレスはまだ乾いてないですよ?」 「ちがう! いいから!」 継母はシンデレラの腕を掴むと、そのまま後ろを振り返り大声を上げた。 「フェアリーゴッドマザー! この子がエラよ! お願い! 舞踏会に行けるようにしてあげて!」 いつからそこにいたのだろう?     
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