第2章 白雪姫とシンデレラ

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「王族ってのはどこの国でも面倒くさいのよ。やれ身分が、やれ伝統が、やれ作法が教養がってさ。あなたも民間出身の小娘のクセにって見下される事もあるでしょう? こっちからしてみりゃ、そのご立派な王族の王子様がどうしてもって私にプロポーズしてきたんだよ! ってなるじゃない。って、私はソレお城で言っちゃったけど。生まれも育った環境も違うのに、いきなり今日から王妃様ですって言われてもさ、戸惑うよね。恐いよね。孤独だよね。そんな時はやっぱり残してきた家族に会いたくなるよね。わかるよ」 シンデレラは唇を震わせながら王妃を見つめた。 どこにでもいる町娘が王子様に見染められて結婚をした幸せな物語。 隣国の王妃様も自分と同じ道を歩いてきたのだ。 とは言えシンデレラは、決していい事ばかりではないその道を歩きはじめたばかり。 国をあげての祝福というベールに隠された、嫉妬と侮蔑に何度も潰されそうになってきた。 だけど、平凡な町娘を妻に選んでくれた優しい夫にも、引き離された家族にも誰にも言えずに辛くても耐えてきた。 それが……こんな風にわかってくれる人がいるなんて……同じ辛さを味わってきた人が目の前にいるなんて……そう思った途端、シンデレラは抑えていたものが一気に溢れだした。     
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