第2章 白雪姫とシンデレラ

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「わ、私……つ、辛いです! 悲しいです! 結婚ってもっと幸せになれるものだと思ってた! お、夫は優しいけど、それ以上にお城が恐い! 私が何かするたびに、みんなクスクス笑うの! もしかしたら私がおかしな事をしているのかもしれない……けど、それが何なのかは誰も教えてくれないから、直しようがないのです! こんな事なら結婚なんてしなければ良かった……! 家に帰りたいです! お父さんやお継母さん、お姉ちゃん達に会いたい! でも……噂のせいで嫌な思いさせてしまってるから、きっと私は嫌われてる……だから……私にはもう帰る家もない……耐えるしかないの……だったらせめて、最後に一度だけでいいから家族に会ってあやまりたい……会いたい……会いたいよぉ!」 感情を露わにわんわんと泣きじゃくるシンデレラを抱き締めながらフェアリーゴッドマザーが言う。 「よかれと思ったとはいえ舞踏会に行かせてしまったのは私。それがきっかけでシンデレラもその家族もみんな悲しい顔をしているんだ。本当なら私が魔法でどうにかしてやりたいのだけど魔法も万能じゃあない。ボロをドレスにかえる事はできても、噂を流す町の人や、この子を馬鹿にする城のヤツらを変える事はできない。魔法で人の心に干渉はできないんだ。だからお願い! この子を助けてあげてほしいの! たくさんの共通点のあるあなた達なら、シンデレラの気持ちも状況もわかってくれるんじゃないか、力になってくれるんじゃないか、そう思って無理を承知で会いにきたんだ……どうか、どうかお願いします……!」     
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