第2章 白雪姫とシンデレラ

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◆   「そんなの簡単よ。王族としての振る舞いができてないって言われるのなら、それら全部をマスターすればいいんだわ! それで、そんな意地悪な人達を見返してやればいいのよ!」 そう言って食後のプリンを食べながら、闘争心に燃える白雪姫にフェアリーゴッドマザーは眉を八の字にした。 「確かにそうだし、そうするしかないけれど簡単な事ではないわ」 「大丈夫よ! 王族の振る舞いって言ったって本当は大したことないから! 頑張って努力すれば大なり小なり結果は必ずついてくる! 私のこの筋肉を見て! 昔はガリヒョロで弱っちかったのが、雨の日も風の日も雷の日も毎日毎日トレーニングを重ね、努力した結果……」 言いながら、自慢の筋肉が最も美しく見えるポージングをとる白雪を手で制し、王妃が続ける。 「フェアリーゴッドマザー、あなたの気持ちもわかるわ。でも心配しないで、覚えるのは大変だけどなんとかなる。私でさえ覚えたんだもの。そこは私と白雪で徹底的に教え込むから問題ないわ。ふふふ……大丈夫よ。私だって白雪の暗殺を企んでいた時に、まったくの知識ゼロから独学で最強の毒薬を作り上げたんだから! 今では特許取得の最強の解毒剤に進化させたけどね! あの頃は雨の日も風の日も雷の日も毎日毎日研究をして……」 言いながら、手振り身振りで説明する王妃を手で制し、フェアリーゴッドマザーは笑った。 「あなた達は血の繋がりはないけど、本当に似た者母娘だわ。自分達に無いものは努力で手に入れる、だったわね。わかった、もう何も言わない。シンデレラ、これからしばらく大変だろうけど頑張って! まずはお城問題をなんとかしてもらいましょう!」 「よろしくお願いします!」 シンデレラは大泣きしたせいで目元がパンパンに腫れている。 せっかくの美人が台無しではあるのだが、その表情には悲しみの色が消え、かわりに薄っすらと希望の光が差し込んでいた。
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