第2章 白雪姫とシンデレラ

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◆ 1か月後。 クリスマスイブの今日は、町中ジェリービーンズをばらまいたような華やかさで賑わっている。行き交う人々は笑い、唄い、家族で、友人で、恋人で、皆白い息を吐きながら幸せそうに笑い合っていた。 「お母さん! あそこに見える大きなクリスマスツリーまで行くんだよね?」 隣国の王族である事がわからないように、黒いコートと軍パンツ姿の白雪姫と、濃紺色のロングコート姿の王妃が、同じくこの国の王妃様であるシンデレラも、正体がわからないようにブラウン一色のポンチョコートのフードを目深にかぶりクリスマスイブの町を歩いていた。   白雪姫が大はしゃぎで指差す先には、この町の中心にある広場に飾られたクリスマスツリーがピカピカと輝いていた。 目測、全長三メートル強といったところだろうか。 木の大きさに対して飾り付けが多すぎる気がしないでもないが、せっかくのクリスマスだからと町の人達がはりきってしまったのだろう。 「お母さん、シンちゃん、私先に行ってるから、後からゆっくり来て!」 最後の『来て!』と同時にダッシュをかます白雪姫に呆れる王妃は、シンデレラに笑顔を向けた。 「白雪! そんなに走ったら危な……くないか。あの子ね、身体能力もだけど動体視力も反射神経もすごいのよ。だって見て。この人ごみの中を誰にもぶつからずに走ってるしょ。でも私達は普通の人間だから危なくないようにゆっくり歩くわよ。あ、そうだ。シンデレラ、迷子にならないように、はい」     
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