第2章 白雪姫とシンデレラ

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シンデレラの問いに、優しい笑顔を浮かべ無言で頷く王妃。 「あ、ありがとうございます……! あぁ……夢みたい……! 町に来た時から、偶然でも会えたらいいのにって思ってたけど……まさか……本当に会えるなんて……!」   どのくらいの時間がすぎたのだろうか。 夕刻の朱色の空がゆっくりと、だが確実に漆黒色に変わり始めると、町のいたる所に点在する街灯に次々と火が灯された。 それぞれのランプに小さな妖精を閉じ込めたような淡い光が、ジェリービーンズの町を幻想的に変えていく。 妖精達の瞬きは広場のツリーも優しく照らし、一層の華やかさに誘われた町の人々が、みな寒さを忘れ笑いながら次々と広場に集まってきた。 そんな人ごみの中、待ち合わせのクリスマスツリーの下で、背の低いシンデレラは背伸びをしながら懸命に家族を探していた。 「お継母さん達はどこにいるのでしょうか……こんなに人がいっぱいで無事に会えるか心配になります。それとも……私やっぱり嫌われていて……だから来てくれないのかも……」 いつまでたっても現れない家族を待ち続け、どんどん不安になるシンデレラの肩を抱き王妃は言った。     
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