第2章 白雪姫とシンデレラ

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「だったら、おまえも同罪だ!」 「こいつら母娘が、この国の王妃様に何をしたのか知ってるのか!」 「王様の御慈悲でムチ打ちにされる事もなく、この町に置いてやってるんだ!」 「ムチ打ちなんて甘い甘い! 本当なら死刑でもいいくらいだぜ!」 「そうだ! そうだ!」 ヒートアップした群衆は地響きを起こす程、声を荒げ足を踏み鳴らしている。 囲まれた中心で退路を失った白雪姫は、しゃがみこむシンデレラ達四人の前に立ち、なんとかしてこの人の壁をみんなで突破する方法を考えていた。 フェアリーゴッドマザーは懐に手を入れ杖の感触を確かめると、群衆がこれ以上暴走した時には魔法を使うと覚悟を決めた。 一方、地面に近い場所でしゃがみこみ家族の再会を果たしたシンデレラは、こんな状況にひたすらあやまり続けていた。 「お継母さん、お姉ちゃん、わたしのせいで、ごめんなさい……ごめんなさい……」 恐怖に怯え抱き合っていた四人の中で最初に震えを止めたのは継母だった。 継母は母娘四人で固まったままの恰好で顔だけを上げると、静かに、そして優しくこう言った。 「エラ……もっとよく顔を見せてちょうだい」 あまりにも落ち着いた母の声に三人の娘達も素直に顔を上げ母を見た。     
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