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「ああ、エラ。今日あなたに会えるのを楽しみにしていたのよ。なんだか大変な事になってしまったけど、やっぱり嬉しいわ」
真っ直ぐにシンデレラを見つめ、嬉しそうな笑顔を見せる継母。
続けて姉達も、
「そうね、ちょっと怖いけど、私達もエラに会えて嬉しいよ」
シンデレラは三人の優しさに言葉を失った。
ああ……この人達は、どうしていつもこうなんだろう。
どんな時でも優しい。
きっと今日だけじゃない、今までだって私のせいで辛い事がたくさんあったはずなのに、どうして責めないのだろう、どうして許してくれるのだろう、どうして愛してくれるのだろう……
ああ、たくさん言いたい事があるのに、私の声は肝心な時に出なくなってしまう……
シンデレラは溢れる思いを言葉に、声にしたいのに、思うようにならない自分が悔しくて唇を噛んだ。
継母はそんなシンデレラの頬に手をやり微笑みながらこう言った。
「エラ、それは家族だからよ」
ああ、お継母さんは言葉にできない私の気持ちも分かってくれるんだね。
ねぇ、舞踏会に行く為にお継母さんが用意してくれたドレスの事を覚えてる?
私は嬉しすぎて、何も言えずにドレスの裾をそっと撫でるのが精一杯だった。
あの時も私の気持ちをわかってくれたよね…
シンデレラは自分の頬にあてられた母の手に頬ずりをし、声は出ないけど素直な気持ちを唇に乗せて伝えた。
『お継母さん、ありがとう』
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