第2章 白雪姫とシンデレラ

46/59

129人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
彼らは憑りつかれたように奇声を上げて、クリスマスのシンボルである大きなツリーに突進すると、総勢二十人で押して引いてを繰り返した。 この木は先月の終わり頃、クリスマスツリーにする為に、またクリスマスが終わってもそのまま大事に育てようと、森から運ばれ植え替えられたばかりだった。 一か月にも満たない短い期間で木は根付くはずもなく、間もなく男達の身勝手により引き抜かれてしまった。 無残にも横に倒された幸せのシンボルは、たくさんの飾り付けの半分を地面に落とし、もう半分はブラブラと引っ掛けただけの状態で、その惨劇に子供達はびっくりして泣き叫び悲鳴を上げた。 大人達の怒声を切り裂くような甲高い子供の泣き声と、その子供達をなだめる大人達の声、そしてその両方に怒鳴り散らす別の大人たちの声が入り混じり、広場は完全に修羅の場と化していった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加