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白雪姫はどうしたら自分以外に女性ばかりの五人を連れて、この人の壁を突破し逃げる事できるのかフル回転で考えていた。
だがどう考えても良い案が浮かばない。
自分一人なら例え取り囲んでいるのが軍隊だとしても逃げ切れる自信があった。
だがそれでは意味がない。
暴走しかけている群衆が罵声だけじゃなく、いつ暴力という手段に出るかわから
ないこの状況で、一人だけ逃げるという選択肢はあり得ない。
何か方法があるはず……チャンスを見逃すな……白雪姫は周囲の観察に神経を集中させていった。
今の白雪姫が切望してやまない逃げるチャンスは突然目の前にやってきた。
白雪姫の思考を中断させる程の、甲高い悲鳴が聞こえたと思ったら、続けて『怒り』ではなく『恐怖』と『戸惑い』を含んだ大人達の悲鳴が重なり、あれ程突破不可能だと思っていた人の壁があっけなく崩れ、群衆はみな散り散りになっていったのだ。
「何が起きてるのかはわからないけど道が開けた! みんな逃げるよ! とにかくここから離れよう!」
フェアリーゴッドマザーとしゃがみこむシンデレラ達に自分についてくるように大声で指示を出す白雪姫。
まずはこの国と自国の国境まで行こう。
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