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この混乱で母である王妃も必ずそこに向かうはずだ。
そうと決まればまずはこの広場を脱出しようと目線を南方に向けたその時、想定外のものが目に飛び込んできた。
たくさんの若い男達が、さっきまで確かに広場の中心で煌めいていたクリスマスツリーを担ぎこちらに向かって突進してきているのだ。
「ヤバイヤバイヤバイ! なにアレ! なんであいつらツリー担いでるの!? あれって広場の真ん中にあったヤツだよねぇ!? なんで? 引っこ抜いちゃったの? でもってなんでコッチに向かってきてんの!? ぜんっぜん分からん! とりあえず、あんなのに突っ込まれたら大変! みんな先に逃げて! ここは私が食い止める! しかも左手一本でなっ!」
またも自分にプレッシャーを課す事で、実力の三倍の力を引き出そうとする白雪姫。
とは言え、やはり左手一本ではさすがに無理だと判断し、迫りくる狂気のツリーを止める為、アドレナリンを全開に腰を落として両手を広げ衝突に構えた。
「来い来い来いぃぃっ!! おまえら全員ツリーごと粉砕してやるからなぁぁぁっ!!」
そう言って野太い雄叫びを上げる今の白雪姫なら、象と闘っても引き分けくらいにはなっただろう。
だが白雪姫vsクリスマスツリーの闘いは不戦に終わった。
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