第2章 白雪姫とシンデレラ

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ツリーを担ぐ狂気の男達は構える白雪姫を素通りし、そのまま走り去ってしまったのだ。 そしてすれ違う時に聞こえた 『エラちゃんは俺らが守る……』 の声で、白雪姫は大きく振り返り舌打ちを打った。 「そうか、あいつらの狙いはシンちゃんのお継母さん達だったんだ!!」   魔法の鏡調べでは美の世界ランキングで圏外になってしまった白雪姫だが、身体能力の世界ランキング女性の部ではここ何年も連続一位をキープしているし、男女混合ランキングでも常に三十位以内には入っている。 そんな白雪姫の脚力なら前方を突進中の狂気のツリーに、追い付き追い越す事など実にたやすい事だった。 白雪姫はあっという間にツリーの先端に肩を並べると、更にスピードを上げ、シンデレラと一緒に走る継母達まで追い付いた。 「シンちゃん! あいつらの標的がわかったの! あいつら、お継母さんとお姉さん達を狙ってる!」   シンデレラ達が全力で走る横を、かなりスピードを落として並走する白雪姫。 シンデレラと姉二人はともかく、走り続ける継母はかなりきつそうだ。 少し遅れて走ってるフェアリーゴッドマザーなどはもう危ないかもしれない。 顔が紫色だし、死にかけの魚のように口をパクパクさせている。 そんな仲間全体の様子を見て白雪姫は決断した。     
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