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「あいつらの一番の攻撃対象はお継母さんだけど、あいつらシンちゃんの事が大好きみたいだから、シンちゃんが一緒にいる事がわかったら攻撃しないと思うの。だからあえてこの組み合わせにしたんだ!」
継母の走るスピードが更に落ちてきている。
本当は一気に広場の出入り口まで行きたいと所だが、これ以上走らせるのは無理だろう。
すぐ後ろまで迫ってきているツリーの暴走を止めるには、シンデレラの協力が不可欠だ。
お城に内緒で変装姿で町に来て、こんな騒ぎに巻き込まれたとなっては、シンデレラは大目玉をくらうかもしれない。
だがそうも言っていられない。
「シンちゃん、私の力不足でごめん。あいつら止める為に被ってるフードをとってくれる?」
「わかったわ! そんな事で役に立つのなら喜んで!」
そう言うとシンデレラは走るのをやめた。
そしてポンチョコートのフードに手をやり、後ろに引きながら振り返った。
フードから解放されたブロンドの長い髪が夜の風に柔らかく揺れた。
同時に広場内に残っていた町の人々の悲鳴が全方向からこだまする。
シンデレラは状況が飲み込めず目線高く立ち尽くしていた。
「ツリーが……空から……」
スローモーションのように映るシンデレラの視界には、満点の星空を背景に自分目掛けてゆっくりと落ちてくるボロボロのクリスマスツリーがはっきりと見えた。
あ……私……死ぬのかなぁ?
私……ちゃんとお継母さんと白雪ちゃんを守れたのかなぁ?
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