第2章 白雪姫とシンデレラ

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憎き継母娘を懲らしめてやろうと、暴走ツリーを担いで追い回していた若者二十人は、一塊に逃げ回っていた継母娘達が二手に分れた事で、ターゲットを継母に絞る事にした。 『俺らのエラちゃん』を苦しめた一番の悪魔である継母はだいぶ走るペースが落ちている、あと少しで追いつくはずだ。 だが途中から加わった筋肉隆々なイケメンとフードを目深にかぶった謎のチビがチョロチョロするせいで思うようにいかず焦っていた。 いくら彼らにとって悪魔のような継母でも殺すつもりなんて微塵もない。 ちょっと脅かしたかっただけなのに……今となっては出した剣を引っ込められない状態になっていた。 「なぁ、いくら大勢で担いでるとはいえコレけっこう重くないか?」 「そうだなぁ、俺なんて腕が痺れてきちゃったよ」 「形が形だから持ちにくいしな」 疲労が狂気と走りを一気に失速させていた。 「でもよぉ、町のやつらもみんな見てるぜ?」 「ああ、これでいきなり俺らが追いかけるのやめて『解散!』なんて言ったら……」 「ちょっと、カッコ悪いよなぁ」 彼ら二十人、疲労困憊。 もうやめたくて仕方がないのである。     
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