第2章 白雪姫とシンデレラ

57/59

129人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
「わかった、待ってて!」 シンデレラは白雪姫の作った空間に潜り込むと、継母の両脇に手を入れてズルズルと引き出した。 継母は気は失っているものの目立った傷はない。 胸に耳をあてると心臓の音もちゃんと聞こえる。 「白雪ちゃん、本当にありがとう。さあ、次は白雪ちゃんだよ! ここから出なくちゃ! あ……でも……どうやって……?」 シンデレラの顔色が見る見る青くなった。 継母を出す事が出来たのは白雪姫がツリーを支えていてくれたからだ。 なら支えてる白雪姫はどうやって出たらいいのか。 「シンちゃん、大丈夫だよ。そんな顔しないで。危ないから、お継母さん連れてここから離れて」 「やだ! 絶対に離れない! 白雪ちゃんには助けてもらってばかりだもの! 今度は私が助ける!」 シンデレラは躊躇する事なく白雪姫の支えるツリーの中に潜り込んだ。 そしてその細腕で幹を支えるも、 「あぁ! だめだ! 足りないよ! 私だけじゃ無理だ! どうしよう! これじゃ白雪ちゃんを助けられない!」 シンデレラは焦っていた。 どうにもならなかった場合、それでも最後まで、この優しい親友と一緒にいると決めていた。     
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加