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諦め顔のフェアリーゴッドマザーは懐から魔法の杖を静かに取り出した。
そして手慣れた様子でビシッとその先端を割れたコップに向け照準を合わせると、オーケストラのマエストロよろしく大きく杖を振りかざす。
王妃がその優雅な動きに見惚れていると、ポォっと杖の先端が光り出した。
白い光はだんだんと色を帯び、七色の虹となり、見たことの無いような輝く光の花が終わることなく次々に咲いては散って咲いては散って…散った花びらが質素な森小屋の玄関を埋め尽くし、割れたコップを完全に隠してしまった。
「あぁ……なんて美しいの……」
王妃は初めて見る魔法に魅入っていた。
輝く虹の花が延々と咲き乱れる中、フェアリーゴッドマザーがコホンと一つ咳払いをした……いよいよ呪文が唱えられるようだ。
____一体どんな呪文なのだろう?
王妃は喉をごくりと鳴らした、……その二秒後。
王妃は想定外のものを聞く事になる。
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