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救急車に乗せられて病院に向かう間も巡査が張り付いて質問をしてくる。
僕の名前、職業、生年月日、住所…
そして、あそこに居た理由…
僕は目を閉じて全てを話した。
瞼に浮かぶのは表情豊かな…奈緒の顔…
拳を握りしめ、やり場がなくてベッドを叩いた。
巡査は僕の話を信じていない。
きっと彼は手帳に書き込んでいる筈だ。
『狂人』と。
「…それで…貴方と一緒に行動していた『筈』…の女性の名前は?」
…ほら、やっぱり…
「…村上奈緒。恋人です。」
僕は聞かれる前に全部話した。
巡査は頷きながら書き留めている。
所在を確かめ、実家に連絡するだろう。
…ご両親に合わせる顔がない…
発つ前に挨拶に行ったばかりだというのに…
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