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大きな、壁の一部と一体化したようなモニターのあちこちに、小さな赤い点が灯っている。
緑の点は一つもない。
「みんな、寝てるの?」
***
いつかの遠い未来、かもしれない話。
何度かの大戦で様々に破壊され、資源は枯渇し、宇宙への進出が加速して人口は減少し、地球は荒廃の一途を辿っていた。
やがて人類の九割以上は地球外に暮らすようになり、地球にいるのは、何らかの事情で地球外に住むことのできない者たちだけになった。
もはや国も統治機関もなく、食糧も資源も乏しく治安も悪い、生活には向かなくなった地球に残った人々は、小さなコミュニティーで閉じこもったり、あてどなく彷徨ったりしていた。
希望と呼べるものはないに等しく、信じられる者などいないのが普通。
そんな地球で囁かれる噂話。
この星のどこかに、まるで前時代のように人々が穏やかに、平和に暮らしている街がある。
その名は「エーヴィヒ」。
永遠を意味する名前の通り、永遠の理想郷なのだと。
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