77人が本棚に入れています
本棚に追加
「久留実さんの方は、望月の弟子が狙うと思う。こっちは、火災の可能性が高い」
建築関係の男が、放火魔でもあった。それも、普通の放火魔ではなく、火を育てない局部火災のプロであった。いかに、人以外を燃やさないかを、楽しんでいる。
「久留実さんと。家族は、狭い場所、個室で狙われる可能性が高い」
トイレ、風呂などが特に危険であった。
綺麗に人だけ燃やそうとする。手口を知られたくないため、防犯カメラのない個室を選ぶ。
こっちは、連続殺人鬼に近いので、警察に捕まえさせるのが一番いい。
「……犯人を捕まえる」
そこで、洗濯が終わったので、家の後ろに作った干し場に行く。屋根が付いているので、雨が降っても平気で、しかも外からは見えないようにしている。
「あ、夕飯を作ろう」
キッチンに行くと、宍戸と通信が繋がったままであった。宍戸も気にせずに、風呂に入っていた。
「ただいま、氷花」
慶松が帰って来ると俺にキスしようとするので、宍戸と会話中だと端末を見せた。すると、画面の向こうでは、孝弘が部屋にやって来ていた。
「あ、キスしている」
宍戸は見られていても、全く気にせずに、孝弘と唇を合わせると、そのまま布団に押し倒していた。
「宍戸君、あまり時間がないよ」
孝弘も、まっすぐに家に帰って欲しい。しかし、孝弘は幾度もキスを繰り返し、服を脱がされてゆく。
「あ、最初にパールを入れてしまうのか」
慶松が真面目に観察している。俺は、慌てて端末の電源を切った。
「覗きはしない!」
「はい!」
慶松は、食事の前に風呂に行っていた。
「氷花、夕食は何?」
「ロールキャベツにしてみた」
タオルで頭を吹きながら、慶松はキッチンで鍋を覗く。
「慶松って、結構、エッチだよね」
ついでのように、慶松が俺の尻を揉んでいた。
「男ならば、これは常識!」
「俺も男ですけど……」
慶松は、乙訓のいる公園の住所のメモを俺に渡してくれた。
「無理しないようにね」
「分かっている」
でも、俺の世界は一つしかない。そこに存在する事件は、全て繋がっている。
第十三章 ここに在るのは罪 三
宍戸の予言として公表されたリストは、石田の家族の件は載せていなかった。まず石田の家族のマークを始める。
これは、宍戸が手を貸してくれていた。
最初のコメントを投稿しよう!