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しかし、犯人の手口の先を読み、久留実の家族を他の場所に移動していた。そこに、別の家族を入れていて、それはその犯人の家族であった。
暗闇の中で犯行は行われ、火を付けた瞬間に、それが自分の家族と分かった。
「怖いな、乙訓さん……」
乙訓も弥勒のような気がする。
犯人の精神は崩壊し、ずっと笑い続けているという。
「でも、これで、一段落ついたよね」
最後に望月は消えても、望月の使っていて言葉による死は、プログラム化しておく。
「宍戸、望月プログラムは預けるよ」
望月の能力自体は、永遠に弥勒に留まる。
「ああ、そういう健全な復帰なのね」
宍戸は、興味無さそうに呟いていた。
俺が家に帰ろうとすると、慶松が迎えに来ていた。
「帰ろう、氷花」
慶松が車で来ているので、多分、ラブホのリベンジではないのか。
「うん。読み終えたよ……」
それに、事件も一段落ついた。
「おいしい、カボチャの専門店があってね」
俺は、遠見に挨拶すると外に出た。かぼちゃも嫌いではないが、そんなには食べない。一個が大き過ぎるので、食べきらないのだ。
「かぼちゃ?」
「そう、前菜からメイン、デザートまでかぼちゃ」
それと、かぼちゃの専門店というのは聞いた事が無かった。
「おいしいかな……」
「予約しておいたよ」
想像できないのに、涎が出てくる。慶松は、本当に俺を甘やかす。だから、俺が気ままに、あちこちふらふらしてしまうのだ。
「さ、行こう」
慶松自身も、よく食べ歩きはしていたそうだが、俺が来て、更に加速してしまっていた。
到着したのは、郊外の民家であった。表には看板はあるが、メニューの類はない。
「三か月は軽く待つ。予約で常に一杯なんだよね」
俺は、かなり普段着で来てしまったが、大丈夫なのであろうか。木の玄関を開けると、老婦人がにこやかに待っていた。しかし、直に席に案内されるのではなく、待合室に入る。そこで、老婦人が今日の天気や、散歩の話などをする。
そうか、この世間話で味付けを決めるため、体調などをみているのだ。
「俺は野菜好きです。実家は農家で、食べ頃、完熟のみ食べて育ちました。特に野菜は生が好き」
先に、俺の食の傾向を言っておく。そして、今日は一日、働いてしまったと言っておく。慶松も仕事の状況を軽く説明した。
「はいはい、注文は請けました。おいしく召し上がれ」
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