第一章 森に埋めた思い出

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「分かった。買い物が終わったら待っているよ」  慶松は嬉しそうに笑った。 慶松はかなりの二枚目で、爽やかなイメージを持つ。どことなく、王子様という印象であった。 その慶松が笑うと、つい俺も笑ってしまう。 「……氷花、誘拐とかされないようにね。知らない人には付いていかないように」  子供のような心配をされてしまった。 「お菓子あげるとかで、付いていかないようにね」 「バカにするな」  慶松は同じ年であるのだ。 そして同じ男であるので、心配する方もおかしい。しかも、俺は成人しているのだ。 「おいしい野菜があるよ」 「え、どこ、どれ……どこにあるの?」  つい慶松の元に近寄ってしまった。
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