第一章 森に埋めた思い出

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「はい、捕まえた。こうやって、誘拐されそうだよ。氷花、心配だなあ」  俺は慶松の手を払って、店から出てゆこうとした。 笑った慶松が、俺に車の鍵を投げてきた。  ラーメンの仕込みは、結構時間がかかる。 慶松は、店を開くのは十一時からであるが、朝からスープを煮込んで用意していた。 特に力を入れているのは、野菜ラーメンであった。  これは美味しいという事に、意味があったのだそうだ。 慶松は野菜ラーメンを極めて、野菜に目がない俺がやって来るのを待っていた。 そして、俺は噂を聞いて本当に、この店に来てしまった。
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