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結構広い玄関に入ると、すぐに待合室になっていた。
この玄関がやたらに広いのは、遠見が医者に行く時に、車椅子で移動するからであった。
玄関は、バリアフリーにもなっている。
待合室の椅子の奥には、受付があり、そこで聡子が編み物をしていた。
受付の横に、二階に行く階段がある。二階は遠見の自宅になっていた。
台車のまま中に入ると、相談者が壁と話していた。
この壁が重要で、壁の中の個室には、遠見が話を聞いている。
相談者には、遠見は姿を見せない。
俺は受付横のドアから入ると、遠見の横に立った。
「あら、氷花君。丁度良かった。媒体になっていて」
媒体というのは、遠見と機械の中継のようなものであった。
遠見は、首から下が動かない。
昔、車を降りた所を、酔ったバイクに突っこまれたのだ。
でも、その頭脳を活かして、遠見相談室をしている。
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